【まとめ】 埼玉中医薬研究会 学術担当:永和堂薬局 松永知子 先生
女性の月経・妊娠の仕組みと臓腑、気血、経絡の関係
女子は14歳前後から腎中の精気が充満して天葵を産生、作用し始めると腎気は旺盛となり、任脈が通じ太衝脈が充満して性機能が成熟する。そして月経が現れ、生殖能力が備わる。その後腎中の精気は次第に衰退し49歳前後に閉経する。
月経は、精という生命エネルギーを蓄えている腎と、血の倉庫の肝、消化器である脾の機能がかかわっています。 血液の材料となる栄養分は胃腸から吸収され、造られた血液は肝臓に貯蔵され、これが徐々に子宮に送られ、受精卵を育てる準備がなされます。もし妊娠しなければ、体外に排泄され、これが月経となります。
月経後次の妊娠のために再び子宮に血液へ送り込まれます。このサイクルが正常に行われるためには子宮が十分に発育していることと、排卵が行われていることが重要となってきます。
生理痛の病因病機
実証と虚証があり、実証はストレスや冷えにより気血が滞り、血液循環が悪くなり、痛みが生じる(不通則痛)タイプである。
虚証は先天不足(腎虚)と 後天失調(脾虚)により、体が弱く、栄養不足に陥り、必要な気血も作り出すことができなくなり、痛みが生じる(不栄則痛)タイプである。
たいていの場合は、実証と虚証の両方が関わっています。
不妊症病因病機
実証と虚証があり、実証はストレスにより気血のめぐりが悪くなりホルモンのバランスが崩れるタイプと、生活の乱れ(甘いものや脂っこいもの、冷たいものや生ものの摂り過ぎ、過食、お酒の飲み過ぎ)により消化器に負担をかけ、体に痰湿という老廃物を生み、気機不利をまねくタイプがあり、いずれも胞宮胞脈をふさぎ不妊にいたる。
虚証は、もともと体力の無い先天不足や、無理なダイエット・栄養不足の後天失養により、気血の不足・腎肝脾の機能が低下し、衝任気血養えず不妊にいたる。
不妊症の基本は主に卵子と精子の質をよくすること、質のよい卵子と精子が結びついた受精卵をつくりその卵が育つ子宮内環境を整えることです。
そのためには、精という生命エネルギーを蓄えている腎と血の倉庫の肝、消化器の脾の協調が不可欠です。