暑い夏の疲れがにわかに残る秋には、寝つけない・熟睡できない・早朝に目が覚めてしまうといった症状を訴える方が増えてきます。
中医学の言葉に『陽盛則悟、陰盛則寐』というものがあります。陽が旺盛になれば目覚め、陰が旺盛になれば眠る、という意味で、陰陽のバランスをとると物事が正しく成り立つという考え方です。
朝にしっかり活動して(陽)夜は落ち着いて眠る(陰)、この陰陽のバランスが崩れた時、例えば夜なのに陰の力が弱くて、陽を抑制できないと眠れなくなり、日中うとうとして活動できない、という悪循環につながります。
睡眠が大切な理由
そもそも人間には何故睡眠が必要なのかを考えてみましょう。
睡眠中、わたしたちの心身は休息をとるだけでなく、体中の修復作業を行っています。壊れたり、古くなった細胞を再生したり、日中の疲労を回復したり、お肌の新陳代謝も行ったり、と全体のメンテナンスをしています。
大脳もまた新たに活動するために休息をとりながら、日中の情報を必要なものと不要なものに分けて整理したり、記憶をしたりしているのです。
眠りが浅い、睡眠不足、だと情緒が不安定になるのも大脳がしっかり休息をとれていないからです。
また、睡眠中に成長ホルモンをはじめ、様々なホルモンが分泌されることをご存知の方も多いでしょう。
脈拍、体温、血圧を低下させることによって睡眠と覚醒のリズムを調整する、眠りを誘うホルモン、メラトニン
メラトニンは太陽光を感知してからおよそ15時間経過しないと分泌されない、という性質があります。つまり、朝6時に太陽の光を浴びた場合、15時間後の夜21時頃からメラトニンが分泌されはじめ、眠くなる、という仕組みです。体内時計の調節役(本来、25時間周期ですが、太陽光を浴びることで24時間にリセットされるといわれています)だという理由がわかります。日中のストレスに対応するため、ストレスホルモンとも呼ばれているコルチゾール
コルチゾールは脂肪を燃やして眠っている間のエネルギー供給をしています。睡眠不足が続くと太りやすくなる、というのもコルチゾールが関係しています。また、コルチゾールは起床後にすぐに活動できるように肝臓のグリコーゲンを分解、ブドウ糖にして血糖値をあげるという働きも担っています。成長ホルモン
成長ホルモンはその名のとおり、身体の成長をはじめ、壊れたり古くなったりした細胞を再生したり、日中の疲労を回復したり、お肌の新陳代謝も行ったりする役割を担っています。成長ホルモンは、睡眠初期のノンレム睡眠時に最大の分泌量を示し、昼間はほとんどといっていいほど分泌されません。疲労回復や細胞の新陳代謝といった重要な役割は、病気予防だけでなく、抜け毛、美容にも関係してきます。ただでさえ加齢とともに現象傾向にある成長ホルモン。しっかりと分泌させて元気と若さを保っていきたいですね。寝る子は育つ、といいますが、大人になっても重要な各種のホルモン分泌や、体中のメンテナンス作業、新陳代謝、大脳の休息など、しっかり睡眠を取れないと元気に活動できないですよね。
睡眠の質でお悩みの方もお気軽に埼玉中医薬研究会の会員店にご相談にいらしてくださいね。
不眠のタイプ
中医学で「不眠」を考える時は大きく分けて3つのタイプがあります。
寝つけないタイプ
★症状★
寝つけない・イライラしやすい・憂鬱感がある・ほてり・のぼせ・のどが渇く
ストレスなどによるイライラや憂鬱感がある方、体の中に余分な熱がこもっていて、なかなか寝つけません。
まずはストレスを調節する肝の働きを高めながら、痰湿を取り除き水分代謝機能を改善していきます。
★食養生★
筍・ふきのとう・ふき・ゴーヤー・セロリ・レタス・菊花・ジャスミン・紫蘇など
眠りが浅いタイプ
★症状★
眠りが浅い・熟睡感が得られない・夢が多い・不安・動悸・めまい・貧血・低血圧・食欲不振・疲労倦怠感
夢を見るレム睡眠が多く、慢性化しやすい不眠タイプです。中医学でいう「血(けつ)」の役割の一つに、精神安定があります。脾の機能低下を改善し、心血また肝血を養うと良いでしょう。
★食養生★
黒豆・黒砂糖・クコの実・なつめ・竜眼肉・百合根・ホットミルク・ホットココアなど
早く目が覚めるタイプ
★症状★
早朝に目が覚めて眠れない・夜間に一回以上のトイレ・腰痛・耳鳴り・物忘れ・ほてり・のぼせ
心の熱は火、腎の精は水、加齢などによって腎の機能が低下し「冷ます力」が不足した時に、体内の熱が暴走し精神安定が図れなくなります。
早く目が覚めてしまうことにストレスを感じないのであれば問題ありませんが、腎の力を補い陰陽バランスを整えておくことは老化予防や穏やかな老化へもつながります。
★食養生★
黒米・黒豆・黒きくらげ・アーモンド・山芋・蓮の実・くるみ・羊肉・もち米など
健やかな眠りのポイント
日中の活動量をチェック
脳は疲れているのに、体は疲れていない、という方はエスカレーターやエレベーターではなく階段を使う・帰りは一駅分歩く・就寝2時間前にヨガやストレッチ、太極拳などをして、積極的に体を動かし、体力を使っておきましょう。
積極的に笑おう
脳の緊張をほぐすには笑いが一番です。笑いはストレス解消にもつながります。積極的に笑うようにしてみましょう。
寝室の環境をチェック
寝室の整理整頓、清潔、自分に合う寝具を使う、といった基本的なところから、照明や音、寝具の色、匂い、気温、湿度、をチェックしてみると意外に「ここか!」という点に気づきます。色々と変えて工夫してみてください。
食習慣をチェック
食事中は副交感神経が優勢になるので、満腹になると眠くなるのが自然な生理現象です。このタイミングで寝てしまおう、と思うのはちょっと待ってください。血液は消化活動のため胃に集中して送られています。このタイミングで寝ると体は活動中のまま寝ることになり、消化不良だけでなく自律神経の乱れを崩す原因になることもあります。
逆に空腹のままですと脳に血液が集中してしまうので、なかなか寝付けません。
ではどうすれば良いかというと、食事は腹八分におさめ、寝る2~3時間前までには食事をすませておきましょう。
どうしても時間がない場合は夕食は消化の良いおかゆや野菜スープにしてみてください。消化の悪い炭水化物、肉、タコ、イカなどは避けましょう。
空腹を感じた場合はホットミルクやホットココアを1杯飲みましょう。飲んだあとは歯磨きを忘れないようにしてくださいね!
不調がある方は、お気軽に埼玉中医薬研究会、会員店にご相談にいらしてください。
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